2025/09/12 20:50

今日は店頭でもお客様に聞かれることが多い抽出について。

どんなレシピで淹れてますか。
粉の量は何gですか。
お湯の温度は何度ですか。
何分で抽出ですか。
挽き具合は、などなど…

聞かれた時には、興味を持ってもらえたことに対して正直嬉しいものです。
だって美味しくないと思われていたら聞かないですもんね。
ただ聞かれた時に真っ先に頭に浮かんでしまうのが、

「どんな淹れ方でもいいです。」

というフレーズ。
これすごく冷たく感じるかもしれませんね。
だからこれは言わずにその場で私は一瞬フリーズしてしまいます。

どんな淹れ方でもいいはないでしょ!
だって美味しく飲みたいんだから。
そう、この「美味しく」というところがより複雑にしているのですよね。

「美味しさ」は人それぞれ、好みによるのかもしれません。
しかし誤解を恐れずに申し上げると、ある程度「美味しさ」は収斂していくということ。
プロが飲んだ時に美味しいね、良いものだねというものは、ある程度固まっていきます。

あ、話が脱線してしまいましたので、元に戻します。
「どんな淹れ方でもいいです。」
というのは、もう少し深堀りしてお伝えすると、「バランスが整っていれば良い」ということを意味しています。
また、その方の欲しい風味に近づけることができればそれで良いということです。

粉の挽き具合と分量、さらにはお湯の温度のバランスです。
あとは抽出速度との兼ね合いもあると思います。
なんだかまた複雑になってきましたね。

正直なところ答えはなく、色々なお店のレシピを参考にしても、そもそもがコーヒーミルの性能も違えば、豆も違う。使っているドリッパーも違うかもしれません。
焙煎者が、どの抽出器具を想定しているかでも違います。
エスプレッソとドリップでは焙煎方法を変えてきます。
お店とは浄水器の性能が違うので、水も違いますね。

その環境下でできることをやっていくしかないということですね。

そのため最近では、今飲まれているコーヒーはどんな感じで、どんな風味の方向に持っていきたいですか。と伺います。
その素材が持っている以上のものは引き出せないですし、錬金術みたいに、持っていない風味を作り出すこともできません。
なので美味しいコーヒーが飲みたい!と言われれば、自分が美味しいと感じたコーヒーを買いましょう!とお伝えするしかありません。
そこがまず第一歩です。

ただ最終的なゴールは、お客様自身で風味の強度や濃度を調整できるようになってほしいと考えておりますので、ここからはその一助になればいいと思い書いていきます。

というわけで、当店の「現在の」レシピを書きますね。
数ヶ月後は違うかもしれませんので悪しからず。
答えがないので、仕方がないですね。
焙煎を変えたら変えないと、おかしなことになりますからね。
それはさておき、銘柄によって少しいじりますが、ドリップの一例をあげます。

粉量:13.5g
挽き具合:中粗挽き(早速曖昧な表現ですね。)→ ただこの曖昧さがポイント。
湯温:88度〜93度
注ぐ量:200ml
出来高:約180ml(焙煎度などによっても少し前後します。)
抽出完了は遅くても2分で完了。

注ぎ方:
①  0:00~0:10  蒸らしのため20ml注ぐ(全体を湿らせる)
①’ 0:10~0:20  蒸らし→ 豆が膨らみ終えたらもう蒸らしはOKです。
②  0:20~0:50 120mlまで円を描きながらゆっくり注ぐ→ちょっと待ちます。
③  0:55~1:05  170mlまで円を少し早めに描きながら注ぐ→ちょっと待ちます。
④   1:10~1:20  200mlまで動かさずに注ぎます。
⑤  良い頃合い(落としきりません)を見て、ドリッパーを外す。(2分は超えない) 完成です!

さて一例を挙げたところで、できた味に対して頭の中でフィードバックしてみます。

Q:あれ?風味は良さそうだけど薄いな・・・
A:単純に豆の量を増やすことを考えます。(濃い場合は反対に減らします。)
→蒸らしをなしにしたり、上記の時間よりさらに早く注いだ場合も薄くなる可能性あります。

Q:酸味が強いな・・・
A:挽き具合を一段階細かくして、粉量0.5g減らします。
→酸味成分は比較的早く抽出されるので、細くすることで他の成分を引き出すことが目的です。
→濃くなる可能性があるので少し量を減らしてますが、減らさなくても良いです。

Q:苦いな・・・
A:挽き具合を一段階荒くして、粉量を0.5g増やします。
→苦味成分は比較的後半に抽出されてきます。苦さの成分が出るということは成分の出を弱める方向にします。

Q:美味しくないな・・・
A:豆を変えます。
→お店の場合…その豆が仕入れの段階で良いものであれば、保管状況を鑑みたり、焙煎を変えます。

この項目に当てはまる場合はありましたでしょうか。
実際は一手ずつ変えていかないと迷子になるので、一手ずつ変えていきましょう。

あとお持ちのコーヒーミルで、どのくらいの挽き具合からやれば良いか迷われる場合は、真ん中から始めるのをお勧めします。10番まであるミルなら5番から、という感じで。

また今回は3回(蒸らし含めると4回)に分けて注いでいますが、5回にすればもちろん味わいは変わります。
どう変わるでしょうか。

ぜひ好みの風味を楽しめた方は挑戦してみてください。



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